Saturday, August 12, 2006

 

到底枯燥

 人間は到底枯燥したるものにあらず。宇宙は到底無味の者にあらず。一輪の花も詳(つまびらか)に之を察すれば、万古の思あるべし。造化は常久不変なれども、之に対する人間の心は千々に異なるなり。
 造化は不変なり、然れども之に対する人間の心の異なるに因(よ)つて、造化も亦た其趣を変ゆるなり。仏教的厭世詩家の観たる造化は、悉(こと/″\)く無常的厭世的なり。基督教的楽天詩家の観たる造化は、悉く有望的楽天的なり、彼を非とし、此を是とするは余が今日の題目にあらず。夫れ斯の如く変化なき造化を、斯の如く変化ある者とするもの、果して人間の心なりとせば、吾人豈(あに)人間の心を研究することを苟且(かりそめ)にして可ならんや。

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